旅日記,随想,俳句など…

エジプト紀行1

エジプト紀行 (2007.12.24-)

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 エジプトのカイロを年末に旅行する機会を得た.カイロで経験した事柄は,我々が日本で日常的に経験することとあまりにも異なっていて,驚きの連続であった.そのことをここに書き留めておきたい.エジプトのカイロは北緯40度で,日本でいえば,屋久島とほぼ同緯度上にある.12月の気温は日中で20℃,夜は10℃程度ということであった.

(1)出発までの顛末

 2007年12月29日から31日にエジプトのカイロでCOMPUCHEM '07なる計算化学の国際会議があるという情報が10月頃から電子メールで盛んに舞い込んでいた.はじめは無視いていたが,今年度の旅費予算が少し余りそうだということが頭を過った.エジプトには数々の名所史跡がある.一生に1度は訪れ得たい国でもある.それに幾つか国際会議で発表しておきたい研究成果もある.メールの内容では,11月10日までに要約でなく論文を投稿すれば良いとのことである.早速,研究の纏まり具合がよい修士2年のN君に国際会議参加についての意志を聞いてみた所,非常に意欲的である.10月末にN君は, "Theoretical Study on Structures of Gold, Silver, and Copper Clusters Using Relativistic Core Potentials"というタイトルで,私は,"Applications of Newly Developed spdsMCPs for First-Row Transition Metal Atoms"というタイトルで,それぞれ,論文を執筆することとなった.10日あまりの短さにも拘わらず,2つとも比較的纏まったものとなり,11月10日の締め切りに十分に間に合った.二人の査読者にレヴューしてもらい,論文を受理するかどうかの決定は後ほど連絡するとのことであった.入手可能な航空券を生協や旅行業者に問い合わせるとともに論文受理の知らせを待った.論文が受理されず発表出来ないならば,学会に出席する意味はない.年末年始なので間際になれば航空券の入手は困難となる.11月の下旬に入っても論文受理の知らせがなかなか来ない.投稿から2週間ほどして,論文受理の知らせがまだ来ないが,日本では年末年始にかけて海外旅行のハイシーズンになり,航空券の入手が困難になるので早く知らせて欲しいとメールしたら,即座に2つの論文とも何のコメントもなくただ受理されたという返信が届いた.何だか怪しげな学会である.

 早速,航空券の取得に乗り出す.まず,九大生協からの航空券は,福岡-関西空港−ミラノ−カイロ−ロ−マ−成田−福岡のアリタリア航空で24万2千円という.家内も同行することを考えると少し高い.もう少し安いのは無いかと問い合わせても,時期が時期だけにこれより安い券は取れないとのことであった.度々お世話になっている「ツアーバンク」のS氏に連絡を取った.福岡-名古屋−ドバイ−カイロ−ドバイ−名古屋−福岡のエミュレーツ航空で16万8800円の航空券が取れるとのことで私と家内およびN君の3名の仮予約をしたのは11月29日であった.学会は12月29日から31日なので,12月27日福岡発で1月1日カイロ発という日程で学会出張というのであれば普通であるが,そのような航空券は取れず,出発日を一日一日前の方へずらし,やっと手に入ったのは12月24日福岡発で1月1日カイロ発という航空券であった.作為的では無いにしいても無駄に滞在日が伸びてしまったので,滞在費を50パーセントにカットしてもらうことにした.

 カイロのホテルもS氏にお願いしたところ,PHARAOH EGYPTという4つ星ホテルを手配してくれた.ナイル川の西側,スフィンクス広場より徒歩5分以内でフィットネス,プール,サウナ等の施設も充実とのこと.一泊シングルで5800円,ツインで8500円である.学会の会場からも2, 3kmであり,まあ良いのではないか. ホテルのクーポンと航空券は12月19日に研究室まで届けてもらった.

(2)12月24日(月)

 年賀状など年末にしておかねばならない種々の仕事を午後4時頃にやっとのことで済ませて,慌ただしく旅行中の荷物を作り,「地球の歩き方」でエジプト旅行の研究に取りかかる.エジプトの通貨はエジプトポンドであり,1エジプトポンド(1£E)は約20円である.エジプト風英語で発音すれば「エジブッシャアン・ボンド」とのことである.エジプトポンドは下落傾向にあり,エジプトポンドから外貨への両替はほぼ不可能とのこと.したがって,必要な分だけこまめに両替をした方が良いと旅行書にある.1£Eは100ピアストルである.エジプトは総じてイスラム社会でバクシーシという習慣があるようだ.バクシーシは欧米でのチップに似ているが,宗教的な色合いがあり「喜捨」という意味に近いということである.ウエイターには25〜50ピアストル,トイレでも25〜50ピアストル,ホテルのおじさんには50ピアストルから1£E,レストランでは料金の10%程度をバクシーシとして出すのが普通とのことである.人間関係を良く保ち楽しい旅行をするためにはバクシーシがいる.いたる所でバクシーシが必要のようだ.小銭を常時携帯していなければならない.「喜捨」というのは出す方が自主的に行なうものであるが,バクシーシはそれが制度化していることから,貰う方から積極的に請求されることが多いとか.

 8時10分福岡発中部(名古屋)空港行のJAL便(EK6274連携)に間に合うように夕食抜きで6時半頃,タクシーで空港に向かう.福岡空港で家内と二人でビールセットとトコロテンセット(1660円)の軽い夕食をすませる.荷物は,毎度のことであるが,大きなトランク1個と普段から持ち歩いている手提げカバンそれにデーバッグのみ.大切なのは発表するデータを入れたMac PowerBookの入った手提げカバンである.念のため発表データはUSBメモリーに入れている.航空券はEチケットである.印刷物(Eチケット)をJALの受付窓口に提出するとカイロまでの3枚の航空券を渡された.荷物はカイロで受けとれば良いとのことである.

 福岡20:10 — 名古屋(中部)21:20
 名古屋(中部)22:45 — ドバイ (12/25) 4:45
 ドバイ (12/25) 8:50 — カイロ (12/25) 11:00

 上の発着時間はすべて現地時間である.日本とアラブ首長国連合(ドバイ)およびエジプトとの時差が,それぞれ,5時間,7時間なので,福岡—名古屋が1時間10分,名古屋—ドバイが11時間,ドバイ—カイロが4時間10分の飛行時間である.名古屋とドバイでの待ち合わせ時間,1時間25分,4時間05分を加えて,計21時間50分,ほぼ1日の旅行になる.

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